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筑波サーキット耐久茶屋2009 レース後記

レースだもの、リザルトにこだわるのは当然である。
しかし、もっと大切な事があるのかも知れない…。

試練

今回の”耐久茶屋”はある意味耐久だった。
暑い鈴鹿8時間耐久などに比べたら大げさかもしれないが記憶に残る苦いレースとなった。

今年から5時間と長丁場になり過去の3時間よりマシンントラブルが心配で望んだ”耐久茶屋”
事前の練習も積み、トレーニングもし、順調に望んだのだがそれは”突然”やってきた。

朝の車検からスムーズに準備が進みいよいよ決勝レース。
くじ引きでグリットは後半スタートになったものの第1ライダーのオーナーである王様がスタートダッシュをきめ、その後もバトルを繰り返しながら先行するマシンをパスし、予定通り第2ライダーに交代。筑波サーキット耐久茶屋2009 レース後記耐久走りで1時間経過して53番グリッドから20位前後までポジションアップ。筑波サーキット耐久茶屋2009 レース後記”秀吉走り”で耽々と上位を狙う。そして給油。思ったより消費が少なく少々あふれたがすぐに拭き取り第3ライダーである自分が出走。練習で転倒しているのでかなり慎重に走った。まだ2時間経っていないがコースのいたるところに転倒したマシンが立てかけてあり、ピットまで押しているライダーもいた。コース上もオイル処理の石灰のあとが多くますますバイクが寝ない(バンク出きない)。それでも自己ベストより1秒オチくらいは保ちたかったので1周目からプッシュ。いい感じですぐにタイムが上がってきたが1コーナーから1ヘアピン、そして最終コーナーで目の前のライダーが転倒していく。すぐに回避するも失速する間に後続に刺される。いつもの練習より1周に神経を使うので時間が経つのが遅い。今回は50分交代。裏のストレートではマシンの状態を少しでも知る為、油温チェックでデジタルメーターとにらめっこ。その時、時計も目に入ってくるのでますます時間が長く感じる。走行して20分すぎたあたりでコースの状態も把握でき、イエローフラッグもあまりでなくなり安定したタイムを刻もうとバックストレートから最終コーナーへ向かうところで突然”パキーン!”と音がしたと思ったら、タコメーターの針が12000rpmからストーンと一番下まで落ちエンジンストップ。

ストレートエンドだったので後続に追突されないようにギリギリ端までよけるが頭の中は”真っ白” そのまま惰性でスポンジバリアーの方へ...。自分で組んだエンジンなのでエンジンストップ時の音からしてリスタートは難しいとすぐわかった。それでもスポンジバリア脇をひとりマシンを押していた。筑波サーキット耐久茶屋2009 レース後記今回は1秒も無駄にしないよう直前の練習でも給油練習などしてとにかくロスしないようにと細心の注意を払ってきた。普段は思いっきり走るところを我慢して耐久走りで第1・2ライダーが走っていたのでマシンを押している自分がとても虚しかった。

みんなが神経を研ぎ澄まし節約した1秒を自分がマシンを押している間に使っている気がした。同じ1秒でもイコールではないのがわかるだけに身に染みる。さらに色々な事が頭をよぎるがプラスな要因がない。少しでも早く押して帰りたい気持ちと裏腹に、この位置からピットにもどると3周減算されること。そしてこのマシンはもう走ることが出来ないと思うこと...それでも押していた。

マシンはミニバイク…重くはない。が、妙に軽くコース脇を進めることができた。
最終コーナー入り口から1コーナー入り口のゲートまでどれくらい時間がかかったかわからないが、このとき自分の時計はすでに止まっていたのかもしれない。

復旧

1コーナーゲートからマシンを出すとピットから救援部隊が...。みんなは何が起きたか把握できていない。ガス欠?最終コーナーで撮影していたお客さんがスロー走行になったところを見ていたようで転倒ではない事はわかっていたようだが、マシンの状態は伝えたいが伝えにくかった。とりあえずピットにもどり修復作業に入るが自分には”駄目出しの作業”になるのではとネガティブな気持ちでいつもは軽くまわるTレンチが重く感じた。

筑波サーキット耐久茶屋2009 レース後記今考えるとなぜヘッドカバーを外したのか?
ヘッド周りが痛んでいれば確実に復旧は無理だ。駄目を確認する作業だからTレンが重いのか...走行直後だけにストーブのように熱いヘッドカバー。
外してみると異常なところがない。止まったときの音からすると何か折れたような音だったのでバルブがピストンにヒットしたか、コンロッドが折れたか重大な損傷が考えられた。コースで止まったときにマシンを置いて帰るか押していくか判断するときに再始動をしようか悩んだが、大きな破損をしていた場合ますます痛むので戻って確認してからにしようと思う反面、心のどこかでわずかな望みを期待してマシンを押して帰ったのかもしれない。

ヘッド周りが生きているのを確認するとわずかな望みが急に大きな期待に変わる。ペアライダーが左のエンジンカバーを外した瞬間、そこにいたメンバーに衝撃が。

フライホイールがパックリ割れている。
筑波サーキット耐久茶屋2009 レース後記驚いたメンバーとは逆に虚しさから急に解放された自分がいた。今できることをやろう!グランドスタンドにおかれた競技用の時計には残り時間が表示されている。残り2時間半。いまから修復すれば2時間は走れる。
通常はリタイアになってもおかしくはないが、直る見込みがあった。まずはこの部分を外すには特殊工具がいる。今回は長丁場だったので普通の人が持ってこない道具に重点をしぼって持ってきていたのだ。まさか自分が使う事になるとは思ってもいなかったが...。そしてこの破損したフライホイールを調達しなくては事は始まらない。何チームかスペアバイクらしきバイクを持ち込んでいるところがあったので確保しに行ったところ、2つ隣ピットに知り合いのチームて快く貸してくれた。思ったより早くパーツの確保が出来たがココで問題が。この部品を押えているナットが64Nmとかなり固く締まっている。そのため特殊工具で保持するのだが保持したところで割れているので空回りしてしまうのだ。耐久レースなのでエアツールで外す事もできない。残す手段は反対側のカバーを開けてプライマリギヤを止めているナットを押えるしか方法がない。プライマリギヤを止めているナットは39Nmなのでこっちが緩む可能性もあるが悩んでいる時間はない。ワイヤリングを外し、エンジンオイルを抜き右側のカバーを開ける。

筑波サーキット耐久茶屋2009 レース後記全ての部品が熱い。22mmのメガネレンチでナットを押さえ、フライホイール側のナットを緩める...。慎重にゆっくりと。
外れた!そしてもうひとつの特殊工具で残った部品を外し交換。

筑波サーキット耐久茶屋2009 レース後記これで走れる!
エンジン始動でキックを繰り返すがかからない。フライホイールが割れたときに周囲にあったステーターも破損していたのだ。もう一度フライホイールを外しステーターも交換。「今度こそかかってくれ!」キックをおろすと勢いよくエンジンに火が入った!外したワイヤリングをやり直し、外装をつけいよいよコースに復帰だ。

だいぶ遅れてしまったが気持ちを入れ替えゴールを目指す。
残り2時間...そして再び

再び...

42位
数字だけではわからない事がある。

筑波サーキット耐久茶屋2009 レース後記マシンを復旧後様子を伺うように第2ライダーが走る。タイムが思うように上がってこないのでマシンが本調子ではないのか?

20分くらい走行したらコースに広い範囲でオイルが出たらしく、急に転倒者が続出。今回初めてセーフティーカーが入った。自分たちのチームではないか?緊張が走る。ピット前を通過するときオイルが漏れていないか凝視する。特に問題はなさそうだがペースカーの入っている時間が長く、しかもスローペースなのでライダーはしんどい。そして時間が経ったので第2ライダーに交代。最後の給油だ。

筑波サーキット耐久茶屋2009 レース後記「とにかく確実に」ピット作業の鉄則だ。焦ってミスったりすると逆に時間を費やす。給油・ライダー交代までうまくいったがエンジンがかからない。嫌な感じだ。

ライダーから交代してエンジンをかけるが一向にかからない。押しがけもしたがダメだ。ダメな原因を調べる為、外装を外す。さっきトラブルになったところを見る。残り1時間…焦る。

さっきまで走っていたのに...筑波サーキット耐久茶屋2009 レース後記そう思うとますます原因が全くわからない。
今回は思い込みでキャブを分解したりさっきの作業ではヘッドカバーを開けてみたりやはり”焦って”時間を費やしていたのだ。時間がどんどん過ぎていく。点火しないので逆に今できることは何だ?と考え換えられる電気部品を交換することに。と言っても、もうスペアなどない。あったのは中古のCDI。これでダメなら本当にリタイアだ。仮付けでプラグをスパークさせてみる。わずかだが火が飛んだ。プラグをはめてキックでエンジンをかける。かかった!残りわずか30分。
再びコースイン。

筑波サーキット耐久茶屋2009 レース後記コース上には10:40分のスタート直後よりも台数が少ない。日も傾き15:40 チェッカーフラッグ!
しぶとくピット作業しただけあって5時間走ってゴールした最後のチームだ。
今回は順位以上に学んだ事がたくさんある。現場じゃなきゃ学べない事がたくさんあった。また少しスキルを上げる事が出来た。このことは仕事にもフィードバックしていきたい。

そして、来年…再び!