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2009.12.02

復旧

1コーナーゲートからマシンを出すと
ピットから救援部隊が...
みんなは何が起きたか把握できていない。
ガス欠?最終コーナーで撮影していたお客さんが
スロー走行になったところを見ていたようで
転倒ではない事はわかっていたようだが
マシンの状態は伝えたいが伝えにくかった。
とりあえずピットにもどり修復作業に入るが
自分には”駄目出しの作業”になるのではとネガティブな
気持ちでいつもは軽くまわるTレンチが重く感じた。
今考えるとなぜヘッドカバーを外したのか?
ヘッド周りが痛んでいれば確実に復旧は無理だ。
駄目を確認する作業だからTレンが重いのか...
走行直後だけにストーブのように熱いヘッドカバー。
外してみると異常なところがない。
止まったときの音からすると何か折れたような
音だったのでバルブがピストンにヒットしたか
コンロッドが折れたか重大な損傷が考えられた。
コースで止まったときにマシンを置いて帰るか
押していくか判断するときに再始動をしようか
悩んだが大きな破損をしていた場合ますます
痛むので戻って確認してからにしようと思う反面
心のどこかでわずかな望みを期待してマシンを
押して帰ったのかもしれない。
ヘッド周りが生きているのを確認すると
わずかな望みが急に大きな期待に変わる。
ペアライダーが左のエンジンカバーを外した瞬間
そこにいたメンバーに衝撃が。

フライホイールがパックリ割れている。

驚いたメンバーとは逆に虚しさから急に解放された
自分がいた。今できることをやろう!
グランドスタンドにおかれた競技用の時計には
残り時間が表示されている。残り2時間半。
いまから修復すれば2時間は走れる。
通常はリタイアになってもおかしくはないが
直る見込みがあった。まずはこの部分を外すには
特殊工具がいる。今回は長丁場だったので普通の人が
持ってこない道具に重点をしぼって持ってきていたのだ。
まさか自分が使う事になるとは思ってもいなかったが...
そしてこの破損したフライホイールを調達しなくては
ことは始まらない。何チームかスペアバイクらしき
バイクを持ち込んでいるところがあったので
確保しに行ったところ2つ隣ピットに知り合いのチームいて
快く貸してくれた。思ったより早くパーツの確保が出来たが
ココで問題が。この部品を押えているナットが64Nmとかなり
固く締まっている。そのため特殊工具で保持するのだが
保持したところで割れているので空回りしてしまうのだ。
耐久レースなのでエアツールで外す事もできない。
残す手段は反対側のカバーを開けてプライマリギヤを
止めているナットを押えるしか方法がない。
プライマリギヤを止めているナットは39Nmなので
こっちが緩む可能性もあるが悩んでいる時間はない。
ワイヤリングを外し、エンジンオイルを抜き右側のカバーを
開ける。

全ての部品が熱い。22mmのメガネレンチで
ナットを押さえフライホイール側のナットを緩める...
慎重にゆっくりと
外れた!そしてもうひとつの特殊工具で残った部品を外し交換。

これで走れる!エンジン始動でキックを繰り返すが
かからない。フライホイールが割れたときに周囲にあった
ステーターも破損していたのだ。もう一度フライホイールを
外しステーターも交換。「今度こそかかってくれ!」
キックをおろすと勢いよくエンジンに火が入った!
外したワイヤリングをやり直し、外装をつけ
いよいよコースに復帰だ。

だいぶ遅れてしまったが気持ちを入れ替えゴールを目指す。
残り2時間...そして再び

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